曖昧の断片
ぼんやりと過ごす日々のなか、周りの友人達だけはたしかに変わっていた。
僕だけが取り残されているようで、焦る気持ちばかりが、ひたすら募っていく。
学年、年齢、肩書き、役職、様々な要因で変わっていく友人達の顔は、もうどんな色が混ざっているのかわからないくらいに大人の顔になっていた。
彼等と会うと自分の立ち振る舞いすべてが見透かされているようで、息が詰まる。
買い忘れたボディソープのこと、殺人事件のニュース、既読のつかないメッセージ。いまの僕にとっては、どれも同じような出来事に過ぎない。
どれだけ足を止めるような出来事が襲いかかっても、日々は振り返ってはくれない。
ただ思うべきことを思って、出会う人と出会って、悔しいことに嘆いて、願うことを止めない。
そんな取るに足らないことを、忘れないように書き留めておきたい。明けていく空の曖昧さに、呑み込まれてしまう前に。