奈辺書房

不確かなこと日記。

おもさ

僕やあなたが思うよりずっと言葉は重くて鋭い。

 

きっと言葉なんて、

意味を含む羅列であるより、視覚的な音の連なりである方がずっと良い。

 

紙の上を行軍する文字の群れが、

ひとりの人間の生き様を投影していたとしても、

大勢の意見を巧みに集約していたとしても、

誰の憂いに刺さることさえなく、

眼前の彼女の涙腺を揺さぶることもないほど軽薄で良い。

 

体温のない重さは罪だから。

涙の行方を知らないあの人が必要としているのは、そんな重さじゃないから。