ハッピーエンド
昔見慣れた景色とすこし伸びた髪に思いを馳せて、東京に戻る新幹線に乗った。
それまであった常識とか確固たる理想を、芯からぶっ壊してきた音楽をつくっていたあの人は、いまカフェの店員をしているらしい。
学生生活をユーモア豊かに綴ったブログを書いていたあの人は、いまなにをしているんだろう。SNSで小説を書いていたあの人も、いまはなにをしているのかわからない。
きっと、みんなそれぞれの人生を歩んでいる。僕の人生に影響を与えた人達は、また別の誰かの人生に影響を与えているのかもしれない。
久しぶりに投稿されたfacebookの事務的なメッセージが、やけに意味を帯びているように思える。
あの人は長かった髪を短くした。ゆるくかかったパーマと茶髪は、やはり似合っていなかった。
夕暮れに染まる街を眺めると、どうしても昔のことを思い出す。あの時、道が別れたあの人たちが、今どうしているのかすこしだけ気になる日の話。